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事件の概要
2006年11月、札幌地裁に提訴された裁判。ユーザーのAさんは04年2月末、住宅会社B社との間で鉄骨造2階建て住宅の工事請負契約を結び、同6月末に引き渡しを受けた。12月末までには追加工事も完了し、AさんはB社に対し、合計3176万円を現金で払った。
問題が分かったのは05年10月ごろ。Aさんが体調を崩したのが発端だった。シックハウスを疑ったAさんが旭川医科大学で診察を受けたところ、「シックハウス症候群」と診断された。建築士に依頼してVOC測定を実施した結果、室内空気のホルムアルデヒドとトルエンの濃度が厚生省指針値より高い事も判明した。換気量の測定(換気扇を「強」で運転した場合)では、1階の換気量はゼロ、2階は41.3†/h。全体の換気量は、設計換気量244.1†の約6分の1しかなかった。
Aさんはこれらを瑕疵だとして、B社を訴えた。建築基準法シックハウス規制施行後の住宅でこうした訴えが出たのは初めてと見られる。B社はもともと経営状況が芳しくなかったらしく、07年1月18日、札幌地裁に自己破産を提示。Aさんの訴えは宙に浮いた形だ。
(NIKKEI HOME BUILDER 2007.3より抜粋)
B社の設置した換気システムは、換気回数等、建築基準法の規定をクリアする内容でしたが、設計に問題があり、実質そのシステムでは充分な換気が出来ていなかったことが大きな原因でした。また、建築基準法でAさんの健康被害の原因物質は規制対象外のトルエン。トルエンは現行建築基準法では規制を見送られている化学物質です。
この事件でポイントとなるのは、シックハウス症候群で住宅会社を訴える事件が、建築基準法シックハウス規制施行後の住宅で起きたというところです。規制施行後も決してシックハウスの危険が去ったわけではないことが示されています。
家づくりのパートナーとなる住宅会社選びは慎重に行いましょう。
2007.03.23